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Celestron C8の補正板の清掃と光軸調整。

Kenko SW-900という口径114mm 焦点距離900mmの ニュートンを2020の4月に3000円位で手に入れ、それから天体観望にハマってしまい、2020年の10月からCelestron C8 vintageを使用しています。

嫁に敷かれている身分なので高価な望遠鏡なんて夢だったのですが、ジャンクで出されているこのC8に出会いました。補正板にはカビが生えて曇りもあるようです。一応、カメラのレンズのカビ取りはした事があるので、躊躇なく入札。ライバルも居なくて3万円未満で落札出来ました。補正板の清掃の仕方はネットですぐに調べる事が出来ました。先ずは保持リングの取外し。

8本のネジを外し保持リングを取外します。保持リングはプラスチックなので割れないように注意が必要でした。補正板と鏡胴には隙間が少しあり、隙間を均等にする目的と思われる小さなコルク片がありました。これを掃除の時に鏡胴内に落としたり無くしてしまうリスクがあるみたいで慎重に補正板を外したのですが・・・

経年劣化で潰れて変形して、もはや意味を成さない状態でした。最初はコルク板を買って、厚みを調整して使おうとホームセンターに買いに行ったのですが、程よい厚みの物が見つけきれず。が、別の用事で釣具屋に行くとコルクテープ(TOHO,Inc.)というのがありまして、厚みがバッチリで、両面テープ付き。早速、スペーサー代わりに貼付。両面テープで着いたので落とす心配も減りました。

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補正板の曇りやカビは、水道水で勢いよく流してホコリを流し、食器洗い洗剤をかけて使い捨ての眼鏡拭きで優しく撫でるように洗い、しっかり濯ぎ、綺麗になりました。そのまま乾燥させたり、眼鏡拭きで拭いても、水垢が付いてしまうのですが、仕上げに滅菌精製水で水垢の元を流せば水垢は付きません。


続いて光軸調整。 

光軸調整についてはエアリーディクスとその周辺に現れるジフラクションリングを見て調整するのが一般的ですが、これから紹介するDuncan Maskによる調整の方が調整するネジの位置が分かり易く追い込みも容易です。
※Duncan Maskは販売はされていないようです。作り方は他の方のブログを参考にされて下さい。

私はこの方のブログを参考にしました。
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私は100均のバインダーをバラしてプラ板を切り出し自作しました。丁度、加工し易い程良い硬さとサイズです。

先ずは昼間に遠くの送電塔の航空障害灯である程度調整して、追い込みはPolarisにて行いました。

アイピースを覗きながらだと何処をイジれば良くなるのか、悪くなるのかも分からず、シュミカセの悪い癖のミラーシフトのせいで、いきなり対象が視界から消えたりと何度も鏡筒の前後を行ったり来たりして、かなり苦労します。スマホアダプターでスマホをコメリートし10倍拡大撮影しながら、行うと幾分楽になりますが、COMSカメラがあるとPCのモニターを見ながら調整出来るので圧倒的に簡単。

調整するネジを分かりやすくする為に目印を貼り、5/32’’inchのアーレンキーを3本挿して、sharp capとZWO 224MC を起動
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アウトフォーカスで焦点に追い込んで行くと、3本の棒状の像が真ん中に集まってきます。Yの字に見えますが、400倍で見ると、10時の方向が僅かに離れている。

ピンクを時計回りに回すと締まり近づいてきます。

800倍に拡大すると、

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6時の方向がほんの少し離れている

緑色を少し時計周りに回して締める

2時の方向がほんの少し近づき過ぎている。

黄色を反時計周りに回して緩める。

アーレンキーを1°単位の調整。何処かを治そうとすると他の二つがズレる。三脚の水平合わせにとても似ている。

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一旦、光軸があった様に見えますが・・・
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バローレンズまで付けて拡大すると意外にまだまだズレているのが確認出来ました。
シーイングが割と良い日に挑戦していますが、それでも揺らぎが凄くて大変(汗)
揺らぎが収まる瞬間を伺いながら調整。
色々な倍率で焦点内像、焦点外像を変えたり試して、もうこれ以上は無理かなと、自分が納得し満足行くまでトコトン調整し追い込みました。
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ZWO 224MC +5倍バローレンズ
sharp capで800%表示。かなり拡大していますが、コマ収差は無さそうです。
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復活させたC8の主鏡と副鏡のメッキの状態は全く劣化は見当たらず、補性板も、見ての通りに新品のように蘇りました。補正板は存在を忘れさせるような透明度です。
あくまで主観ですが、星像はとても鋭く大満足!しかも、ロットナンバーから同い年という事が判明し、より愛着が湧きました!
(追記)
海外のサイトですが、このような小石のオレンジの皮仕上げのCelestron C8には熱狂的なファンがいるみたいで、驚異的に見えるとか、出会えると幸運とか、大袈裟な記事に出会いますが、理由と思われる記事を見つけました。
内訳は1979〜1981年に製造されたこのモデルは初期生産型でかなりクオリティの高い品質であったそうで、それが元ネタかも知れません。
現在もそうだと思うのですが、主鏡、副鏡、補正板は一対で製作調整されほとんど一つ一つがオーダーメイド、丁寧にマッチングテストされ合格とされた品質の鏡筒だけが市場に並ぶ事が出来たそうです。
シュミカセって、見え味の悪い粗悪な望遠鏡というイメージを持たれている方もおられる様ですが、シュミカセの見え味は光軸の調整や、温度順応をしっかり行う事でかなり改善するのですが、現在のように調整方法などの情報が無かった時代背景や1982年からはラボが2年間ノンストップで稼働していた事や生産用のマスターブロックが摩耗してしまったため一度品質が落ちたらしいので、この時期の製品は主鏡の取り付けが、メーカー公差範囲内であっても最初から傾いている個体があるのかも知れません。また稀に主鏡に対して副鏡が偏芯している場合もあるらしいです。副鏡の偏芯については副鏡セルを固定しているネジを緩めて副鏡セルを回転させるとか位置をズラすなどして副鏡の偏芯が最小限になるように調整は出来るようですが、主鏡の傾きについてはシュミカセでは主鏡の光軸調整機能がありませんから焦点内外像で調整するしかありませんので光軸を合わせても視野の中心部でコマが出る場合は要注意ですね。
クオリティが回復した1985年以降の鏡筒はまたクォリティが良く優れているみたいですよ。
当たりと思われる私の C8 ですが、vintageの赤道儀は流石に古くて、追尾性能に不安があり、三脚の高さ調整や水平取りが出来なかったのでUlutima C8の赤道儀と鏡筒を手に入れたので載せ替えました。1988年製造の物ですが動作は快調そのものです。
Ulutima C8の鏡筒については得に不具合もなく最初から綺麗なのですが、vintageに惚れすぎてるので、こちらは予備として保管してます。いずれは、野鳥撮影用にビデオ雲台に載せられるように改造するかも知れません。
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by celestronc8_o39 | 2021-03-08 22:13 | 天体観望 | Comments(0)